【ハクメイとミコチ】第8回 おすすめの漫画【樫木祐人】
この作品は、ファンタジー好きには堪らない作品です。
一言で言うなら、大人向けの絵本とか童話とか、そういう作品です。
絵が恐ろしく緻密で、設定についてもコラムとかで、市場ができた理由や、キャラクターのその日の日記とかが書かれていて、驚くほどしっかりと世界観を作っています。
また、この作品(出版社?)が強気で、試し読みのサンプルがほとんどないのです。
童話みたいなファンタジーものは、当たり外れが激しいから、試し読みもなしでは、手を出しにくいかと思いますが、これは大当たりです。
内容としては、
身長9センチほどの小人の日常を描いたもので、出てくるキャラ全員がいい奴で、仕事を持ってて、「未知の外国の物語を聞いて、そこに旅行に行ってみたい!」と思わせるような感じで、良さを表現しづらいのですが、とにかく面白いです。
ドロドロした展開が無く、ストレスなく読むことができますし、現実でもありえそうな世界を堪能できます。
例えば、「銀河鉄道の夜」とか「ノルウェーの森」の良さを伝えたいときに、
「この作品は、この部分がどう良くて、展開がどうなることが素晴らしい」と言語化することの難しさに似ていて、
「とりあえず読んでみろ、読めばわかる」としかオススメしようが無い、歯がゆさを感じます。
世界観に関して、単行本のオマケで「コラム 足元の歩き方」という物が各話の後に出てきます。
例えば、第6話の終わりに、「アラビ積み木市場」の興りが書かれています。
そのまま引用すると、
このアラビ積み木市場は、元は3人の名士が建てた店から始まったと言われている。
漁師の気球丸、布団屋のウィリー、珈琲焙煎士のキュウカ。彼らはそれぞれ、穏やかで遠浅なアラビ湾の性質を生かした様々な海産物の獲得、干潟の泥を用いた綿花栽培法の確立、そして労働者に憩いの場を提供することで、街の発展に貢献した。
現在は、廃墟となっている中央広場跡地を中心に、人が人を呼ぶ形で積み重なったのが今日のアラビの原型である。今でも中央広場には、3人の銘が刻まれた石碑が安置されている。
尚、独特な積み重なった建築方法に関しては、3人の
「重ねればいくらでも店が建てられるよね」
という呑みの席の戯言から発生したと言われている。
とこんな感じで、本編では全然出てこない部分を作りこんでいて、ファンタジーなのにリアリティがあるという作品です。
一枚絵で面白さを表現するのが難しいですが、下の画像を見てロマンを感じた人にはオススメです。
また、1話の途中まで試し読みできるサイトを見つけたので、読んでみてください。
できれば、立ち読みができる古本屋とかで、1冊読んでもらえば良さが伝わると思います。